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釧路地方裁判所帯広支部 昭和45年(わ)18号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕検察官は、被告人古川の本件各所為は、同被告人の暴力的行為の習癖の発現であるとして、暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条の三後段(常習暴行)の適用を求めるので、判断するに、適法に取調べた各証拠によると、被告人古川は、これまで(一) 昭和三八年七月二四日釧路地方裁判所帯広支部で恐喝、脅迫(および窃盗、道路交通法違反)の罪により懲役一年(および罰金三、〇〇〇円)に、(二) 昭和三九年一二月三日釧路地方裁判所帯広支部で恐喝罪により徴役一年年二月に、(三) 昭和四三年三月二一日東京地方裁判所で傷害(および道路交通法違反)の罪により懲役一年六月に、それぞれ処せられたことが認められる。しかしながら、暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条の三にいう「常習トシテ」とは、単に同条に掲げられている傷害、暴行、脅迫又は器物損壊の各個の罪ごとの常習性のみを意味するものでなく、これらの各犯罪行為を包括した暴力的行為を反覆累行する習癖をも意味するものと解すべきであるから、これら四つの罪種又はこれと本質的には同一の犯罪と考えられる傷害致死、暴力行為等処罰ニ関スル法律第一条、第一条の二等の罪につき相当数の前科、前歴がある場合には、これを有力な資料としてその常習性を認定することが比較的容易であると思われるが(この場合でも前科前歴の犯行態様、内容につき充分な検討が必要であることはいうまでもないところである。)、右の各罪種をこえ、暴行、脅迫、器物損壊等を手段とすることの多い恐喝、強要、公務執行妨害、威力業務妨害等の各罪の前科、前歴がある場合に、これをもつて暴力的行為の常習性の認定資料とすることは、これら各罪が単なる暴力的行為とは罪質、被害法益を異にすることを考慮すると、絶対に許されないものとまではいえないとしても、特別の慎重を必要とするものと解せられるところ被告人古川の前記各前科すなわち、恐喝二、脅迫、傷害各一のうち、(一)の恐喝は、当時二〇歳の被告人が一六歳の少年に対して脅迫、器物損壊的な手段をもつて行つた事犯であり、(一)の脅迫は、被告人が飲酒のうえ行つたものであり、(二)の恐喝は、当時二一歳の被告人が、すでに他の二名の者から傷害を加えられていた被害者に対し、右二名の者と共謀のうえ脅迫的手段を用いて行つた事犯であり、また、(三)の傷害は、当時二四歳の被告人が頭突き、殴打などの暴行を受け、この仕返しのため、とくに凶器を作成したうえこれを用いて行つた事犯であつて、それぞれの犯罪の類型、動機、態様に相異する点が少なくなく、これらに本件各犯行(注、飲酒店の二人の客に対する暴行)を考慮してみても、被告人古川に暴力的行為を行なう習癖があり、本件がその発現であるとまで断ずることは困難であるといわねばならない。そして、同被告人が昭和三九年五月頃から、的屋飯島山田二代目条野一家小室二代目大作喜宥の舎弟分として、その身内の者らと親しく交際していること、本件各犯行は、同被告人が、判示のごとく暴力的行為の習癖を有すると認められる被告人小室と行動を共にし、これと共謀のうえでなしたものであることなどの諸事情を考慮してみても、なお右結論を左右することはできない。(堀内信明)

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